ドミニオンはデジタルゲームなのか
153日目
ドミニオンアドベント(?)カレンダー2023の153日目。サムネはここにあるよ。何か書いてくれる方は下のスプレッドシートに記入お願いします。スプレッドシートは過去記事のリンク集も兼ねているので過去記事もよろしくね。
実は世に出ていないかった
ドミニオン共通試験2023を1月に公開しました。まだやっていない人はやってください。
第4問の【文章Ⅰ】【文章Ⅱ】はどこかから引用した体で書いていますが、この試験が初出で、ちゃんと文章として世に出していなかったことを思い出したので昨日今日のアドカレはこの文章の再掲(?)です。
【文章Ⅱ】
ドミニオンは今でこそオンライン版のプレイ環境が整っているゲームだが、もともとは実際のカードを使う非電源ゲームだった。オンライン版とカード版の違いはいくつかあるが、カード効果が修正されたときの対応が特に問題となる。オンライン版では運営側が挙動とカードテクストを変更すれば済むが、カード版ではそうもいかない。オンライン版と違って、新たなテクストのカードを刷ろうとも、旧版のカードが置き換えられるわけではない。過去のカードを購入したプレイヤーの手元には、エラッタ前のカードテクストが燦然と輝いているのである。
カード版におけるエラッタの問題として、そもそもエラッタに気づかれにくいことが挙げられる。オンライン版であれば挙動が変わるので、使っているうちに効果が変わっていることに自然と気づける。しかし、カード版では効果が勝手に処理されるわけではない。そこに書かれている文をプレイヤーが読み、プレイヤーが処理するのである。これでは、ゲーム中に自然とエラッタに気づくのは不可能だ。もちろん、版元の声明に注意を払っていれば問題なく対応できるが、すべてのプレイヤーにその努力を要求するのはいささか無理があるのではないだろうか。ここに、次なる問題が発生する。
すべてのプレイヤーがエラッタを知っているわけではないということは、同じサプライを囲んでも異なるルールの下でゲームが開始されうるということである。各プレイヤーは、エラッタ前のルールしか知らなければそれを、エラッタを認知していれば新ルールを正しいと信じてプレイするのだ。ルールを覚えた・更新した日時によって、正しいルールが複数存在するのだ。ゲーム開始前に採用するルールを確認しなければならない。エラッタが発表されるたびにシールなどを用いてカードテクストを変更しておくのでもよい。同一のカードに対して複数回の修正が行われた場合は厄介である。「新しいルールで……」と提案しただけではルールを特定できないのだ。
オンライン版が盛り上がっているとはいえ、もともとカードで発売され、現在においても新たな拡張セットをカードでも発売する姿勢を変えていないドミニオンは、もう少しエラッタに慎重になるべきではないか。近年では2022年に行われた大量のエラッタが記憶に新しいが、その際はエラッタしたカードを数日後に再エラッタするという有様であった。「婚姻届を役所に出すつもりでエラッタしろ*1」とはよく言ったものである。