ステロゴリラがドミニオンするよ

ドミニオンのために開設したけど多分気が向いたときにドミニオンに限らず適当なこと垂れ流します

祝祭書庫を理解する

前置き

 この記事はドミニオンアドベントカレンダー2022の15日目の記事です。ほかの記事も面白いのでぜひ読んでみてください。

adventar.org クリスマスとはもともと宗教的な行事ですが、ここは日本。なんでもただのお祭りにしてしまう人々の住まう国です。いまやハロウィンからのクリスマスで騒いで除夜の鐘をきき、初詣をしたが初以外には詣でない、何か困ったときには神様仏様と唱える日本人は珍しくありません。失礼、脱線しました。そんなわけでクリスマスなので祝祭にまつわる記事をどうぞ

祝祭書庫の紹介

 基本セットのころからある有名コンボの一つで、祝祭でアクション権やら金量やら購入権やらを出し、減った手札は書庫で超回復するぜという、とても楽しい組み合わせです。ともに5コストであるために集めにくいというのが難点でしたが、今の基本セットには職人がいるのでだいぶ組みやすくなったのではないでしょうか。

 さて、こんな説明はもう読み飽きたでしょうし、拡張セットのカードによる亜種も多くある、超がつくほどの有名コンボをなぜいまさらと思うでしょう。そう、祝祭書庫は散々語られているのです。でもね、その中でどうしても許せない説明があるのです。

「祝祭は手札を減らすカードだから書庫と相性がよい。」

 いやぁよろしくない。噓でしょ。大嘘でしょ。いや、実際に相性はよいし、日本語は難しいので嘘じゃない解釈もできます。でもこの説明だと嘘のニュアンスが強くありませんか。どちらかといえば噓の意味にとりやすくありませんか。
 嘘だ嘘だってどういうことかというと、上記の説明は祝祭が書庫のドローを強くしているという意味にとりやすい*1がそれは嘘でしょということです。ドローに注目していうなら書庫を主題にしようぜ。祝祭が書庫を強くしているみたいなニュアンスは入れないようにしようぜ。ほんなら牡牛の習性と書庫だけで楽しんでください。ほんなら祝祭に1ドローがついてお値段そのままの新カードが出ても祝祭と書庫で回してください。そういうことになりますよ。

 確かに、祝祭をプレイした後の手札枚数はプレイ前より少なくなっています。でもそれは「祝祭は手札を減らすカードだ」ではなく「祝祭を使うと手札が減る」(字面だとまったく同じ意味に見えるけど伝われ)でしょう。

じゃあ何がいいんだよ

 もちろん、互いが互いの足りない部分を補いあっている点がかみ合っています。

 祝祭の強い点は書いてあることすべてです。2金1購入は金銀と比較してコスト的に妥当なところで、それでいながらコンボデッキに必要なアクション権を増やしてくれるのはとてもうれしいです。ただ、コンボデッキ用のカードなのにデッキ回転能力が皆無なのはいただけません。しかも、0ドローというのは回転力が落ちるというだけではなく、手札を増やしにくいということでもあります。これらは明確な弱点です。
 対して、書庫は手札を増やすことしかできません。ちょっとした(廃墟場だとちょっとどころではない)調整は便利ですが、祝祭のようにあれもこれもということはなく、ただ手札を増やすだけです。手札を増やしても、アクション権がついていないので引いたアクションカードを使えません。また、鍛冶屋なら何枚連続で使っても3ドローですが、連続2枚目以降の書庫は図書館跡地に成り下がります。この、ドロー以外に何もできない点と、しかもそのドローも腐りやすい点が弱点です。

 さて、祝祭に足りないのは回転力だというなら祝祭鍛冶屋でいいじゃないか。それでも祝祭の弱点は軽減できます。祝祭単体で使うより圧倒的に強いです。しかし、軽減しているだけで消しているわけではありません。祝祭が圧迫した分の1枚は掘れていません。書庫と比較してドローの効率が悪いのです。対して、これが書庫なら祝祭が圧迫した分の1枚も掘れます。書庫は何回プレイしても手札が7枚を超えないという弱点がありますが、手札が何枚の状態からプレイしても7枚にしてくれます。祝祭が0ドローでも、その引けなかった分を書庫の変数ドローが吸収してくれるのです。まるで書庫が祝祭にドローをつけてくれているかのようです。ドローに注目していうなら、祝祭が書庫を強くしているのではなく、書庫が祝祭を強くしているのです。
 ならば祝祭が書庫に完全に寄生しているのかというとそうでもありません。きちんと共生しています。書庫は手札を増やすしか能がありませんが、祝祭は見ての通りアクション権と金量、そして購入権と、書庫に足りないものをすべてもっています。すべてもっているのがミソで、これが牡牛の習性だとうまくありません。祝祭と書庫を並べればそれだけで強い購入ができますが、牡牛と書庫だけを並べてもろくな購入ができません。もちろん、牡牛牡牛木こり書庫のようにすれば金量も出ますが、それは牡牛書庫が強いのではなく木こりが強いのです。

デッキの安定性を考える

 さて、カード個別の視点からではなく、祝祭書庫を組み上げたデッキの視点からも考えてみましょう。祝祭書庫を回していて困ってしまうのは、祝祭で止まるというパターンと、勝利点カードや財宝カードで止まるというパターンでしょう。

 ここで、1ドローがついてお値段そのままの祝祭があったとしましょう。このカードと書庫は相性が悪いですか? 答えは否。書庫で手札に加える枚数は減りますが、その減った分はスーパー祝祭で引いているのでなんら変わりません(もちろん、手札が異様に0ドローアクションに偏っていて書庫をサーチしたいとか廃墟が邪魔とかの理由でスーパー祝祭のドローが書庫に劣る場合はまれにあります)。それどころか、手札が全部祝祭だったら詰んでいたのに、スーパー祝祭だけの手札はまだ詰んでいません。スーパー祝祭のドローが書庫に劣ることもあるなんてデメリットを埋め合わせておつりがくるメリットではありませんか。スーパー祝祭なら、祝祭書庫の困ったパターンを1つ取り除けるのです。であるならば、祝祭にドローがついていないのはやはり弱点です。
 さて、困ったちゃんその2の黄色と緑色で手札が埋められた場合ですが、「手札を減らすカードだから書庫と相性がよい」祝祭はこれを解決してくれるでしょうか。もちろん、否。残念ながらこちらの問題はスーパー祝祭をもってしても解決しませんが、真に「手札を減らすカードだから書庫と相性がよい」カードは存在します。地下貯蔵庫や風車、または採集者のような、手札の黄と緑を捨て札なり廃棄なりした結果手札が減るカードたちです。手札の邪魔なカードを取り除きもしないで手札を減らした気になっているフェスティバルマンにはお灸をすえてやりたいところです。

「互いに補完しあっているから強い」

 というわけで、下手なことをいえなくなってしまいました。「手札を減らすから」とはいえませんが、「書庫が祝祭の欠点を補っているから」でも説明不足です。結局、「いやそんなんコンボ全般そうやろ」といわれそうなことしかいえなくなってしまいました。でもいいんです。この記事を読んでくれた人たちの中に1人でも牡牛書庫で虚無を回すことがなくなった人がいればそれでいいんです。よいクリスマスを。

*1:実際のところ、どっちにとる人が多いのでしょうか。「祝祭は手札を減らすから書庫のドロー枚数が増えて強い。(嘘)」「祝祭は手札が減るのでそれを補ってくれる書庫と相性がよい。(嘘ではない)」のどちらかというと、前者にとってしまいそうな気がします。ほかにも解釈あるかも。