ステロゴリラがドミニオンするよ

ドミニオンのために開設したけど多分気が向いたときにドミニオンに限らず適当なこと垂れ流します

鍛冶屋ステロはコンボである前編

72日目

 ドミニオンアドベント(?)カレンダー2023の72日目。何か書いてくれる方は下のスプレッドシートに記入お願いします。 docs.google.com

鍛冶屋ステロに隠れたコンボ脳

 鍛冶屋ステロという戦術があります。よく初心者向けに紹介される戦術です。しかし、実戦では鍛冶屋ステロをすることはほとんどありません。それでも、解説されるだけの理由があります。ただシンプルかつ強いから、だけではありません(そのつもりの人もいるかもしれない)。鍛冶屋ステロを回すことで、コンボにもつながる多くのことを学べるからです。現在の上位プレイヤーも、ほとんどの人が鍛冶屋ステロを回したことがあると思います(おそらく嘘ではないが限りなく嘘に近い文だから鍛冶屋ステロの練習を正当化するものではない*1)。鍛冶屋ステロの中にどんなコンボ脳が隠れているか探してみましょう。

手数圧縮

 ステロのよいところは、構築にかかる手数が少ないことです。鍛冶屋ー銀ー金ー銀ー金ー属-……シンプルですね。最低限の金量だけ確保してあとは勝利点行動に手数を割く、極限まで無駄をそぎ落とした構築です。
 対してコンボは必要なパーツが多く、どうしてもステロより必要な手数が増えます。と、ここで終わってはいけません。必要なものが多い中で、いかに無駄を削ぐか考えなければなりません。対ステロなら余裕があっても、対コンボだとその悠長さが命取りになります。理想とは異なる形であってもゲーム展開によっては妥協しなければならないこともあるでしょうし、そもそも理想だと思っていた形や手順が無駄のあるものかもしれません。実はコンボなんてことをせずステロが正解なのかもしれません。コンボを組めるようになったとしても、常に無駄を削ぐ心構えが大切です(僕は無駄だらけブクブクデッキばっかり組んでいる)。

回転力と手札増加と金量計算

 最低限の金量だけ確保してあとは勝利点行動に手数を割く、というのなら銀貨と金貨だけでよく、鍛冶屋は必要ないように思えませんか。鍛冶屋を入れたところでデッキ内の金量は増えません。それでも、財宝だけよりは鍛冶屋を1枚か2枚入れたほうが強いでしょう。いくつか理由を挙げます。これらもコンボデッキにつながってきます。

 まず、序中盤においては回転力が重要な要素です。デッキを強化する段階では、できるだけシャッフルを早め、獲得したカードを早く多く使えるようにしたいものです。ステロの場合は金貨が使いたいカードです。銀貨は回転力を上げませんが、鍛冶屋は上げてくれます。鍛冶屋ステロにおいて、銀貨は銀貨を使うためのカードですが鍛冶屋は金貨を使うためのカードです。
 コンボにおいても、キーカードを使い倒すというのが大切です。たとえば、2ターンに1回しか飛んでこない民兵と毎ターン殴りかかってくる民兵では後者のほうが嫌で、コンボデッキを組むなら後者を目指したいところです。そのためのアプローチとして、民兵を大量に雇うというのもありますが、必要な枚数が多すぎるうえにアクション権の問題でプレイしきれないこともあり、あまりにも手数と手札の無駄遣いです。相手の手札を減らすために自分の手札を実質的に減らすなんてアホちゃうか。ドローを重ね、1枚を毎ターン使いましょう。

 手札の増加も重要な要素です。手札5枚で8金を出すより、手札7枚で8金を出すほうがはるかに簡単です。鍛冶屋は、プレイすることで1枚を3枚に変換してくれるカードであり、単純に3枚分の価値があります。さて、2金しか出さない銀貨の価値はあなたのデッキのカード何枚分ですか?
 コンボを組むからにはステロよりも強い動きをしなければなりません。堀と牡牛の習性で回したところで結局手札は5枚のままで、堀と牡牛の習性としてプレイしたアクションカードは1セットで2枚分の価値しかありません。そのカードが何枚分の価値があるのか、ほかのカードより強いのか、比較しましたか?

 金量増加にも役立っています。いやいや鍛冶屋は0金じゃん総金量増えないよという声が聞こえてきそうです。そうだよ総金量は増えないよ。でも、1ターンに出る金量は増えます。鍛冶屋は1金も出さないカードですが、金量を上げるカードにもなれます。鍛冶屋は、ドミニオンにおける金量には2種類あることを教えてくれます。
 総金量はデッキを引ききって初めて意味を成す金量*2であり、引ききらない鍛冶屋ステロではあまり考慮しなくてかまいません。総金量を上げるには、そのカードが実際に金量を生めなくてはなりません。銀貨なら総金量を2上げられます。
 ターンあたりの金量は引ききらないデッキでも関係してきます。引ききりデッキにおいては総金量と等しくなります。この金量は、実際にそのデッキがどれくらい強いのかを考えやすくしてくれます。銅貨10枚と呪い10枚からなるデッキと、銅貨10枚のみからなるデッキを比較してみましょう。どちらも総金量は10金ですが、後者のほうが圧倒的に強そうではありませんか。実際、前者は2~3金しか出ないでしょうが、後者は確実に5金が出ます。銅貨20枚呪い10枚デッキと銅貨10枚デッキを比較しても銅貨10枚デッキに軍配が上がります。総金量は少ないのにね。
 ただ総金量を上げるのではなく、いかにして高額カードに届かせるか、いかにしてターン当たりの金量を増やすかを考える必要があります。ステロにおける鍛冶屋や、コンボにおける圧縮などがこのための工夫です。銅貨7枚屋敷3枚よりは銅貨7枚だけのほうが強いですし、銅貨7枚よりは祝祭3枚のほうが強かろうというものです。「1枚廃棄は研究所獲得相当」に通ずるものがあります*3ね。

 鍛冶屋で引いた鍛冶屋は、回転力という点で見れば1枚回転を鈍らせるゴミであり、手札増加という点で見れば1枚手札が増えないゴミであり、金量増加という点で見れば1金も生まないゴミでしかありません。このゴミ化を避けるためにステロでは多くとも2枚しか鍛冶屋を入れないのです。強いなら入れまくればいいじゃんとはならない、その理由を深堀してみれば、コンボ構築にも生かせるものが発掘されました(こじつけか)。

続きは明日

 推敲もせず筆の赴くままに書き連ねたら2500字をとうに超えていました。まだまだ鍛冶屋ステロからコンボにつながる要素はあります。ということで続きは明日のお楽しみ。

 

*1:鍛冶屋ステロの練習はしていないかもしれないが、上位に到達するまでの限りないゲームの中で稀に発生する鍛冶屋ステロないしそれに準じた戦術が正着になるゲームに遭遇したことがあると思われる。

*2:厳密には引ききらなくても底にx金眠っているから次からのyターンでz金が1回は出る、などの予想ができるパターンがあります。

*3:あれは主に回転力に焦点をあてたものらしいですが。