ステロゴリラがドミニオンするよ

ドミニオンのために開設したけど多分気が向いたときにドミニオンに限らず適当なこと垂れ流します

ドミとら1~圧縮を知ろう~

 Dominion Online Lv.50を目指す初心者のための虎の巻1巻目(総数未定)。ドミニオンで勝つためのコツというか,多くのサプライで通用する戦術・思考方法について解説します。今回は圧縮について。とりあえず最後の項目だけ読むのでもいいよ。

圧縮とは

 圧縮とは弱いカードを廃棄や追放することで,引いてくるカードを強いものだけにする戦略です。ここでいう弱いカードとは,呪いに限らず初期デッキの銅貨や屋敷も含みます。

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呪いだけでなく銅貨や屋敷も圧縮対象

 圧縮することで得られるメリットには,回転力の上昇安定性の増加出力の増加が挙げられます。

回転力の上昇

 ドミニオンの攻略記事を調べると,回転力という言葉にいずれたどり着くでしょう。回転力とはデッキシャッフルの頻度のことです。シャッフルの頻度が高ければ高いほど回転力があり,強いデッキであるといえます。

 シャッフル頻度が高いと強い理由は,デッキ強化速度カード使用効率の2つが上昇するからです。

 ドミニオンはカードを獲得(購入含む)することでデッキを強化してゆくゲームですが,獲得した時点ではまだデッキ強化の恩恵を受けられません。その獲得したカードをまだ使用できないからです。今残っている山札は,あなたが今のターンを始める前より強くなっていないのです。

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何を購入しても2ターン目の手札は強くならない

 獲得したカードを使用するためには,捨て札をシャッフルして新たな山札を作り,手札に引いてくる必要があります。つまり,ドミニオンにはターンという単位だけではなく,デッキシャッフルという単位が存在するのです。むしろ1ターン経過することよりも,デッキが1周回ることのほうが意味があります
 毎ターンのクリーンアップフェイズに捨て札をシャッフルできれば,毎ターン強くなったデッキを使えます。しかし,これが3ターンに1回しかシャッフルできないと,その2・3ターン目は1・2ターン目に獲得したカードをまだ使用できません。毎ターンシャッフルデッキに比べて1・2周分前の弱いデッキで戦わなければなりません(しかも,この遅れは蓄積します)。これが回転力の差によるデッキ強化速度の差です。

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シャッフルすると山札が強くなる

 さて,少し想像してみましょう。毎ターンカツアゲしにくる民兵と3ターンに1回しかカツアゲしにこない民兵だとどちらが嫌ですか? 前者ですね*1。アタックに限らず,強いカードはできるだけ毎ターン使用したいものです。しかし,民兵を毎ターン派遣するために2人も3人も雇うのは効率がよくありません。手札でかぶってしまうリスクがありますし,そもそも民兵の獲得に2手も3手もかけているのが無駄です。使いたいカードは民兵だけではないでしょう? そのすべてを2積み3積みしますか? できますか? できませんね。手数は有限です。

 このようなピン挿ししたカードをたくさん使いたいときにも,回転力を上昇させることが役立ちます。
 ドミニオンでは,1回使ったカードを再び使うためには一度捨て札,つまりシャッフルを経由しなければなりません。ここで,回転力を上げていない15枚デッキを考えます。このデッキは3ターンに1回しかシャッフルできず,ピン挿しカードは当然のことながら3ターンに1回しか使えません。しかし,デッキを圧縮して5枚にすれば毎ターンシャッフルが発生し,ピン挿しカードを毎ターン使えるようになるのです。少ない獲得数で多い回数使用できるわけで,カードの使用効率がよくなっています。

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シャッフルするとまた使える

 余談ですが,上述した回転力の上昇は圧縮だけでなく,大量ドローによっても実現できます。毎ターンデッキのすべてのカードを引ききれば,毎ターンシャッフルが発生し,非常に強い動きとなります。初心者のうちはそんなデッキ作っている間にゲームが終わるよと思うかもしれません(僕もそうでした)が,実はサプライのカードを最大限活用してやれば引ききりデッキの構築が間に合うことはよくあります。というか,2人戦ではおおむね引ききるべきです。

安定性の増加

 圧縮すると弱いカードというノイズがなくなるため,ステロ(主に財宝カードを使用しアクションカードは1~2枚に留める戦術)にせよコンボ(アクションカードを大量に並べる戦術)にせよ毎ターン同じような出力が期待できます。以下,それぞれの場合の例をみてみましょう。

 ステロの極端な例として,圧縮して金貨3枚だけにしたデッキ*2を考えてみましょう。このデッキならこの後確実に3ターン連続で属州を購入できます。しかし,ここに初期デッキを加えるとどうなるでしょうか。金金銅屋屋や金銅銅銅銅などの手札が発生しうるため,8金が確定しません。圧縮することで,安定して8金を出す力を得ていたわけです。

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金貨3枚デッキは属2後もまだ8金確定だが初期デッキが残っていると属0でも不確定

 コンボの安定性は想像しやすいでしょう。たとえ村や鍛冶屋を大量にガメようとも,最初の5枚に村と鍛冶屋のセットをそろえていなければ*3意味がありません。また,仮に1回村鍛冶と続いても,そこで続くアクションを引けず銅5屋2の手札で終わるのならやはりコンボとして弱いといわざるをえません。この銅屋を圧縮していればこんなことにはならなかったのに……。圧縮できるのに圧縮しないでおきながら,手札の銅貨と屋敷を眺めて「運が悪くてコンボできないわー」などと宣うのは甘えだと知りましょう。

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圧縮することでコンボセットをそろえられる

 圧縮することで最初の5枚にコンボの始動カードを引きやすくなり,コンボセット(村鍛冶に限らす金貨改築なども)をそろえやすくなるため,想定外の低出力ターンは発生しにくくなります。また,次のターンにできることを想定できるため,勝利点行動を始めるべきタイミングをつかみやすくなったり,どのアクションをを獲得すべきかがわかりやすくなったりするという利点もあります。

出力の増加

 安定性の増加の項で述べたことと重なる部分もありますが,弱いカードがデッキからなくなることで,1ターン中に使える金量が上がりやすくなります。屋敷はビタ1文出力しないくせに手札というリソースを1枠圧迫しますし,銅貨もたかが1金しか出しません。屋敷を手札に1枚引いているということは,実質的に手札が5枚ではなく4枚しかないわけです。これらがあった手札枠が金貨なら属州を購入できたでしょう。あるいは,村や鍛冶屋になっていれば手札枚数が増え,さらなる金量出力ができていたでしょう。

圧縮の弱点

 ここまで書くと,圧縮が最強戦術に見えますが,弱点もあります。初動が遅いのです。圧縮さえすんでしまえばその後は安定して高出力できるものの,圧縮したターンには何も買えないことが多いです。たとえば基本セットに存在する礼拝堂は手札を4枚も廃棄できる強力な圧縮カードですが,手札5枚から礼拝堂をプレイし,手札を4枚廃棄したら手札0枚・出力金量0金で,そのターンには何も購入できません。このように,いわゆる「しゃがむ」ターンが発生するため,強い動きを始められるまでが無圧縮と比較してやや遅い傾向にあります。よって,強力なステロが存在する場や,対戦人数が多い場などの,高速で属州が減る場においては圧縮した後の立ち上がりが間に合わないこともよくあります。

屋敷を廃棄する?

 強いカードだけ引くためとはいえ,勝利点のついている屋敷を廃棄してよいものか疑問に思う方もいるでしょう。屋敷をすべて廃棄してしまうと,廃棄していない相手と比較してー3点。属州を4枚ずつ分けるとすると,公領を1枚多く獲得しなければ同点にならず,勝つためには屋敷1枚は追加で獲得する必要があります。2手も多く必要なのです。……実はこの考え方には大きな穴があります。そもそも,圧縮したデッキと圧縮していないデッキとでは属州を4枚ずつ分け合うことはありません。

 前提として,前述したような高速場でない,圧縮が有効な場であるものとします。このとき,圧縮側は初動こそワンテンポ遅れるものの中盤以降に5金を連打しやすく,強力なアクションカードを高速で集められます。さらに前述した回転力の増加もあってデッキの強化速度が無圧縮の比ではありません。また,勝利点行動に移ってからの8金や16金2購入も安定して出すことができます。結果として,早くデッキ強化を完了できますし,無圧縮側が事故っている間にも属州を確実に獲得できるため,属州を同数で分けることはほぼありません。

 では,比較対象の無圧縮デッキがステロならどうでしょう。やはり,2人戦の一般的なステロではコンボに比べて5金や7金などの妖怪1足りない*4が発生しやすいです。また,属州を1枚ずつしか購入できないため,3ターン無事故でようやく属州3枚です。圧縮したコンボなら事故率はステロのそれとは比較にならないほど低く,2ターンで属州を4枚購入できることも少なくありません。相手が事故っている間に効率よく勝利点行動できるため,やはり属州を同数で分けることはなく,十分に勝てます。
 もし万が一ステロがブン回ってコンボが事故ったとしても,公領差をつけることができます。ステロはそのデッキ構成ゆえに勝利点カードが入ってからは高出力を維持することが非常に難しい戦術です。属州4枚目くらいまではなんとか購入できても,5枚目6枚目を安定して購入するのはほぼ不可能です。一方,圧縮したコンボ側は大量に手札を増やす構成であり,そのコンボパーツ濃度が高いため,多少勝利点カードがデッキに入ったところで出力にはさほど影響しません。そのため,ステロが息切れして金貨や銀貨を追加しているうちに公領を複数枚購入することで追いつき,逆転するプランも立てられます。

圧縮をしよう

 圧縮には回転力の上昇・安定性の増加・出力の向上というメリットがあり,それらの恩恵を享受した結果,デッキの成長速度が上がったり,デッキをコントロールしやすくなったりするという強みもあります。屋敷を廃棄するー3点のハンデは,その後のデッキ成長速度や安定した勝利点行動の恩恵の前にはごく僅かなものであり,その程度の点数差は後でいくらでも返すことができます。圧縮をしましょう。

 もっとも,近年の拡張セットの濃度が高いサプライにおいてはしゃがむターンが痛すぎて圧縮しないほうが強い場合もまれにありますが,それはDominion OnlineでLv.60を超えようというレベルの話です。まずは圧縮をして,その強さを体にしみこませましょう。

*1:もちろん,毎ターン移動動物園や書庫系カードを手札に構えられるなら話は変わりますが,そんなことはそうそうできるものではありません。

*2:圧縮するためのカードが残るかと思いきや拡張セットを使えばそれも消えます。まぁ今回は話を簡単にするためですけど。

*3:正確には5枚+そこから村を含むキャントリップ(+1カードと+1アクションが保証されているアクション)で続くうちにそろえていなければ。

*4:コンボにとっての5金は強力なアクションを購入できるため有用ですが,そもそもアクションカード枚数を抑えるステロにおいては金貨を購入できない無駄金となります。